今、ビジネスシーンでロジカルシンキングが重要視されており、新人の研修や社内の勉強会などで取り上げられることが多くなりました。
日本の教育環境から考えて、問題に対して答えを即答する教育が主流であり、授業においても、与えられた知識をなんの疑問も持たず受け取るだけの癖がついている私たちにとって、論理を組み立てて答えを導き出す作業は、訓練をしなければ身に着けられません。
しかしながら、ロジカルシンキングを身に着ける事は、論理的に物事を考える訓練になる事は理解していますが、その他にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ロジカルシンキングの手法についてはお話してきましたが、ここで初心に戻り、ロジカルシンキングの効果についてお話していきます。
目次
思考の整理ができるようになる
生活の中では、複数の問題が同時並行で発生し、混乱する事もしばしばです。ロジカルシンキングを習得すれば、そんな絡まった思考を整理する事が可能になります。思考が整理できれば頭の中がシンプルでクリアになり、問題を解決するプロセスも簡単になります。
全体像を把握しやすくなる
物事の全体像を素早く把握する事ができるようになると、その中の問題点も見えやすくなります。問題点がクリアに発見できれば短時間で解決できるようになり、解決できていないが答えを出さなければならない時に使われる、「勘」や「主観」などに盲目的に左右されることなく安定の回答ができます。
わかりやすく伝える事ができる
私たちは、自分が整理できていない情報を人に説明すると、整理できていないまま相手に伝えようとするため、無駄な説明が多くなります。又整理できていないと理解も十分できず、理解できていないことを隠すためにたくさんの情報を付け加えようとしてかえってわかりにくくなります。思考が整理できていると、伝える為の部品も少数で済むため、わかりやすく伝える事ができます。
最良な選択ができるようになる
ロジカルシンキングは、仕事だけに活かせるものでは無く、これからの将来を考える際にも役立ちます。将来の目標を設定したら、そこに到達する最短距離がわかり、その道筋がクリアであればあるほど、日々迫られる選択を間違えずに下せるようになります。
理解する基本が身に着く
思考がクリアに整理できていると、相手の言っている事も飲み込みやすくなります。相手の発言の真意や目的を、自分の頭の中で同時に整理し、いわば通訳のように自分の頭の中に入ってくるため、話を理解しやすくなります。
相手の事を理解できるようになる
相手の言っている事が素早く理解できるようになれば、自ずと相手の事も理解しやすくなります。相手の事が理解できるようになると、次にどんなことを話せばよいかが自然とわかるようになり、会話がスムーズに進みます。そんな無駄のない会話のやり取りができるようになれば、良好なコミュニケーションを築けるようになります。
人間関係のコツはロジカルシンキング
「嫌われる勇気」の著者として有名なアドラーは、「人間の悩みのほとんどは人間関係でできている」という言葉を残しています。それぐらい人間関係というものは難しいと言わざるを得ません。友人として付き合う相手は、自ら選ぶ事が出来ますが、こと職場となると、自分で選択する余地はありません。
仕事におけるストレスNO.1は人間関係であり、仕事を辞める原因のNO.1も人間関係、その一方で今の仕事を続けている理由の一番も、人間関係が良好だから・・・人間関係を制する者は仕事を制すと言っても過言ではないこの事実を前に、選ぶ事の出来ない職場の人間関係をどう整るか、考えなければなりません。
今回は、そんな人間関係の整理を、ロジカルシンキングでやってみるコツについてお話したいと思います。
見解の相違
仕事でよくあるのは、「見解の相違」です。家族でも友人でのも無いのですから、相手がその主張に行きついた理由もわからなければ、逆に相手も自分の主張の根拠は理解できません。だからと言ってぶつかってばかりいては全く前に進みません。
職場で一番大切な事は、利益を生むこと、もしくは目の前のミッションをこなす事です。その目標を達成するために自分の我を押し通すことが正しくないのはもちろんの事、無駄な人間関係の悪化を招きます。
もし意見がぶつかってしまったら、ロジカルシンキングを使って、視点を変えて捉えてみましょう。その結果相手の意見を受け入れることができないならそれも一つの結論です。自分の意見にそぐわないからと初めから反発するより、一度は論理的に考えようとした事は、「仕事をわかっているヤツ」だと好印象を与えるでしょう。
相手の立場に立って考える
相手に何かを説明する時、特に部下ができればそういう機会も増えてきます。よくあるのが、やたらと専門用語を連発して相手をさらに混乱させてしまうパターンですよね。ここでもロジカルシンキングを用いて考えた場合、その説明をする事で相手に理解させ、スムーズにミッションをこなす事が目標であり、「難しいことをしている上司・先輩」アピールは得策ではありません。
相手の立場になって考えれば、言わなくてもわかるだろう、というところまで説明しなければ根本的な事は伝わりません。相手を尊重してこそ論理的に相手がわかるように説明しようとする気持ちが芽生えます。
上司には結論から先に
どうしてもソリの合わない上司は、残念ながら存在します。ソリが合っても合わなくても、上司に何かを説明する時は、結論から先に話すようにします。ロジカルシンキングを使って筋の通った話をすれば、上司からの信頼も得られますし、何より、自分の気にくわない話は全否定する上司の場合、結論から先に言う事で、最初に否定されれば無駄に話をする時間も少なくて済みます。
最後に
コミュニケーションを円滑に運ぶ一番のコツは、相手にベクトルを向ける事です。思考が自分に向いていては、相手の表情や何を求めているかを見逃してしまいます。特に仕事では、自分一人だけで何かをなし遂げるのは難しいことがほとんどで、大前提として会社から出されたミッションを遂行するには、周囲の人をうまく巻き込むことが一番の近道になります。どうせ周りの人を巻き込むなら、良い雰囲気で仕事をしたいですよね。相手にベクトルを向ける事は、最終的に自分の為でもあると心得、論理的なビジネスパーソンでいたいものです。